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「ヤマカンナイト!」トークイベントレポート 山本寛監督が自身の作品に込める思いとは

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アニメ「Wake Up, Girls!」を手がける山本寛監督の実写映画作品「私の優しくない先輩」の上映会イベント『ヤマカンナイト!』が、2014年10月19日に戦災復興記念館(仙台市)で開催された。上映前のトークコーナーでは山本監督が登壇。アニメ制作にかける熱い思いを語り、会場を盛り上げた。

師匠の教え

トークのはじまりは、山本監督が師と仰ぐ人物、木上益治(きがみよしじ)さんのお話から。当時、京都アニメーションの現場を切り盛りしていた木上さんは、とにかく妥協と迎合を許さない人物だったという。

そんな木上さんからアニメのいろはをすべて教わったという山本監督が、当時何度となく言われたのが「君はそんなことをするためにこの業界に入ったのかい?」という言葉。「ぼくがプライド高いことを知っててそう言うんですよ。いちばん傷つくんですよね」と言いつつも、その度に「よし、じゃあやってやる」と奮起してきたという。そして、その経験が現在の土台になっているのだと話した。

“萌え”というファシズムの誕生

前述のエピソードは約15年前のことだが、当時と今では、業界を取り巻く時代背景がだいぶ変わってきた。最も大きな変化は”萌え”の登場だ。「”萌え”が生まれる以前にも、かわいい系のアニメは存在していました。しかし”萌え”という言葉の誕生により”萌え”がファッショ化した。”萌え”というファシズムが襲ってきたんです」と山本監督は話す。

“萌え”が勢いを増すにつれ、アニメファンが作品に求めるものも変わっていった。また、SNSの普及により、作り手の元に直接ファンの声が届くようにもなった。山本監督のツイッター(現在は休止)にも多くの声が寄せられたが、その中に「アニメで現実を見せないでほしい」という意見があったという。これはつまり「現実はつらい。だからせめてアニメでは夢を見せてほしい」という主張だ。

これに対して山本監督は「現実逃避や”萌え”を否定するつもりはありません。あくまでも”萌え”のファッショ化を否定しているだけなんです」とコメント。「現実を見せるのがダメって言われたらかなわない。アイドルでもAKBのドキュメンタリーとかありますよね。なんでアニメだけダメなんでしょうか」と疑問を投げかけた。

もうちょっと落ち着こう

アニメについて議論が交わされることの多いTwitterや2ちゃんねるについては、「正直に言ってもう怖いですね。文字の向こう側に人間が見えてこない。想像ができない何かを相手にしているような感覚があります」と山本監督。「ぼくは普通にアニメを見て面白いかどうかを単純に語ってほしいんですけど、そうでないところに議論が行っちゃうんですよね。売上と勝ち負けとか(作り手の)人格とか」と問題点を指摘した。

山本監督の最新作「Wake Up, Girls!」は、直訳すると「目を覚ませ、女の子」となるが、この「Wake Up」には、実は色々な意味を込めたという。「『目を覚ませ』って言うと、また偉そうにと言われるかもしれませんが、とにかくちょっと落ち着つきましょうよと。こんなことを語るためにアニメにのめり込んだはずじゃないでしょう?」と、本筋とは違うところで作品が評価されがちなアニメ業界の現状に苦言を呈した。

“萌え”だけと言われたらたまらない

続いての話題は、作品に込める思想について。「ぼくの世代は(アニメで)国家や人間、社会、思想を語るのが当たり前だと思ってきました」と、山本監督。「攻殻機動隊」の押井監督、「ヱヴァンゲリヲン」の庵野監督、「もののけ姫」の宮﨑駿監督もやってきたことであり、それを無に帰すことはできないと話す。

そんな山本監督だが、実は”萌え”の王道ともいえる「らき☆すた」も手がけている。「いっそ”萌え”のど真ん中をやってみようと思ったんです。もちろん、この作品にも思想を込めています。すごく良い作品になったと思っていますが、これ(萌え)だけやれと言われたらたまりません」と語った。

現実が辛いからこそアニメも辛く

さらに「現実が辛いからこそ、アニメも辛くあるべきだと思うんです」と話す山本監督。そうでなければ現実とのギャップに更に苦しむことになるからだ。「せめてアニメの中では現実逃避をさせてあげる」のではなく、アニメにも現実のとある一面を反映させる。そのうえで何らかの結論を出す。それが山本監督のやり方だという。

「現実逃避してもいいんだけど、必ず現実に戻してあげないといけない。そうしないと生きてて辛いだけじゃないですか。すべての表現は、必ず何らかの形で現実へのコミットがあるべきだと思います。それがあるから、明日からも生きなきゃって思えるんです。ぼくはそのやり方しか知らないし、そうあるべきだと思っています」と、こだわりを語った。

最後は「”萌え”も日常系も否定はしませんが、それだけがアニメではないと思います。ぼくみたいなやつがひとりくらいいてもいいじゃないかってくらいの余裕はもっていてほしいですよね。それくらいには落ち着きましょうよ」と呼びかけ、トークコーナーを締めくくった。

4月には阿佐ヶ谷編も開催!

仙台で好評を博した「ヤマカンナイト!」が、阿佐ヶ谷ロフト(東京)でも開催されることが明らかになった。日時は4月28日(火)18:00から。内容は山本寛監督ほかゲストによるトークライブ+上映会。「ヤマカンナイト! 阿佐ヶ谷編 」の詳細は以下のページでご確認を。

『ヤマカンナイト! 阿佐ヶ谷編』 – LOFT PROJECT SCHEDULE

■イベントタイトル
ヤマカンナイト! 阿佐ヶ谷編

■場所
阿佐ヶ谷ロフトA(全自由席)

■日時
4月28日(火)
17:30開場/18:00開演(22:00ごろ終演予定)

■チケット料金
前売り 2,500円
当日 3,000円

■出演者
山本寛(Ordet)
森井ケンシロウ(スタジオモリケン) 
竹内宏彰(Ordet) ほか

司会進行:島形麻衣奈(プロダクション・エース)

■チケット発売
4月1日(水) 正午12時 イープラスにて発売予定

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